街のお風呂屋さんがどんどん変わっていく。一体、変化の原動力は何か? 銭湯ライターが肌で感じた「隠れた成長産業」の秘密を探る『銭湯革命』 革命の旗手的銭湯26軒を掲載。
「ブルワリーとホテルの併設を目指すスタイリッシュ銭湯」「アメリカ育ちの4代目による湯上がりピザが楽しめる銭湯」「水の魔術師がこだわりの極致で実現した美と健康の銭湯」など 東京都浴場組合の広報宣伝事業を手掛ける株式会社草隆社は、 7月27日、 新刊『銭湯革命』をPOD(プリント・オンデマンド)方式でAmazonと三省堂書店(paypayモール店)から発売する。
本書は同社が運営を委託されている東京都浴場組合の公式ホームページ「東京銭湯」( https://www.1010.or.jp )に掲載された記事を再編集したもの。 一般に「衰退産業」と受け止められている公衆浴場に起きはじめた変化の潮流を、 浴場オーナーの心中とともに様々な角度から伝える。 銭湯に興味を持ち始めた人には、 本書はミシュランガイドのような格好のガイドブックである。 銭湯生活にどっぷりつかっている人にとっては、 新しいネタが見つかるツウの虎の巻となるはずだ。 銭湯経営者にとっては、 さらに上を目指す参考書となるに違いない。 そしてもし、 「銭湯って何?」というレベルの人が偶然の事故で本書に巡り合ったならば、 人生が変わるきっかけになるかもしれない。 本書を通して感じるのは、 「成長産業」に切り替わった最大の原因が経営者の若返りにあるらしいということ。 40代、 50代の若手経営者は企業に就職するなどワンクッション別の社会経験を積んだ後に店を継ぐケースが多くなってきた。 つまり、 銭湯の中にずっといたのでは見えない世の中の新しいニーズをとらえ、 それを継いだ店の経営に生かすことによって、 若いユーザーを引き付ける「エキサイティングな空間」を実現した。 また、 昨今のサウナブームを上手に取り入れている銭湯もたくさん紹介されている。
もくじ
第1章 浴場業界の常識を一変させた新しい集客アイデア
ゆくゆくはブルワリーとホテルの併設を目指すスタイリッシュ銭湯 黄金湯(墨田区)
丼モノのように多彩な湯船をちりばめた天然温泉銭湯 湯どんぶり栄湯(台東区)
サウナー記者が見つけた「三つ揃い」のNo.1銭湯サウナ 萩の湯(台東区)
アメリカ育ちの4代目が考えた「湯上がりピザ」が楽しめる銭湯 蒲田福の湯(大田区)
7000冊の漫画と絵本、子供客のリピートをねらう「ぬり絵コンクール」 東京浴場(品川区)
余るほどのスペースを利用して定期のライブイベントが注目の的 尾久ゆ~ランド(荒川区)
スポーツジムは風呂付きが当たり前だがなんと銭湯付きのジムが! 第二亀の湯(練馬区)
第2章 利用者のニーズにこたえる「快適空間」を演出する知恵
「水の魔術師」がこだわりの極致で実現した美と健康の銭湯 妙法湯(豊島区)
黒湯の黒さランキング1位を自負する宴会場付き銭湯 蒲田温泉(大田区)
コリアンタウンの路地に佇む都会の隠し湯は和のデザインふんだんに 万年湯(新宿区)
テラリウムをコンセプトにして究極の癒しを提供する クアパレス藤(板橋区)
石油トレーダーの第二の人生が家業の風呂屋の「品質」を変えた 第二宝湯(杉並区)
スポーツクラブ勤めのノウハウを生かした銭湯の新しい付加価値 喜久の湯(葛飾区)
地域のランドマークを目指す「下町のラグジュアリー銭湯」 改栄湯(台東区)
日本一の風呂屋を目指して子供たちに好かれる屋号に変更 ゆ~ポッポ(練馬区)
第3章 「地域交流の拠点となる」理想を求めて
マスコミによる世論の後押しで福祉型家族風呂許可の条例ができ地域に貢献 御谷湯(墨田区)
大正ロマンをコンセプトにした温泉銭湯は地域コミュニティの核 はすぬま温泉(大田区)
「人と文化、今と昔が交差する場所」であり続けるためのイベント銭湯 改良湯(渋谷区)
コンビニで学んだ地域密着経営を生かして銭湯の未来を展望 仁岸湯(江戸川区)
駅チカという立地をフルに生かしてサウナ好きの若者を取り込む 府中湯楽館 桜湯(府中市)
都内で開業した一番新しい銭湯は歴史ロマンを感じる街の地域拠点に 十思湯(中央区)
「救命銭湯」は災害時に「授乳所」へ! 地域貢献への熱い思い 大星湯(新宿区)
第4章 銭湯文化を伝え継ぐ情熱
建築資材は自分で選び改築プランまで頭の中で組み立てた百寿オーナー 常盤湯(江東区)
生き残るための先手構想はお湯と煙突の改造、後継育成、脱燃料 江北湯(足立区)
80歳の現役オーナーは英語版のホームページ作成にも挑戦 中延記念湯(品川区)
風呂屋の娘がつむぐ銭湯物語「風呂屋は明るく、きれいであればいい」 宇田川湯(世田谷区)
あとがきに代えて
新宿・栄湯のリニューアル事例から考える「銭湯の個性化」の可能性 今井健太郎