競馬が中止だって
開店早々に入ってきた中年の……と書いてちょいと思った。
アタシャ簡単に「中年」と書いちゃうが、以前「中年って幾つぐらいなの?」と聞かれたことがあったな。そん時は「60代前半が壮年で、80代からご老体と申し上げている。それ以外はみんな中年」とアタシなりの勝手な解釈をしたが、今日の中年は壮年に近い60半ば過ぎのおヒトである。
この中年氏が来るなり「競馬が中止になったんで週末は時間を持て余しちゃうよ」とのたまわれた。そう、この中年ウジ、名立たる?競馬マニアなんである。金曜日になると競馬新聞を持ってきて、湯上がりに予想・推理に余念がない。アタシャその姿を見て
「どうせ外れるんだろうに、下手な考え休むににたり……」
とヘソ曲がりに思ったりしたが、大きなお世話だよね。競馬に推理がなくっちゃあ予想にならないものね。しかし、今言ったように「下手な考え」を一切しないで新聞の予想を鵜呑みにして馬券を買い、ほどほど当てているヒトもいますが、しかし今日の競馬は3連単なんていう馬券もあって、プロの予想屋が20点近くあげても外れていますもんねえ。
とまあ、大きなお世話が続いたところで、さて「競馬中止」のニュースに参ろう。スポーツ新聞にはは「馬インフルエンザで開催中止」の大見出しだ。
「馬のインフルエンザによる開催中止は71年以来36年ぶり」
とも報じていたねえ。競馬マニアが馬券を買えない心境は辛いんだよなあ。実は何を隠そう(ヘッ何を隠すんだよォ、気取ってらア)。アタシも経験があるんだ。36年前の開催中止の時に、今は競馬のケの字もやんないアタシだが、当時は明けても暮れても馬券馬券の時期があったんだ。木曜日に出馬表が発表されると新聞と首っ引きで、それこそ下手な考え……に没頭したんだ。
馬券中毒とでもいった時代に馬の風邪による開催中止じゃない。中毒者が禁断症状を起こしたようなもんだ。当時の風邪は関東だけだった。名牝・トウメイや豪脚メジロムサシがいたように思ったなあ。そこで禁断症状の矛先は「関東が駄目なら関西があるわい」と、新聞に小さく出ていた関西の出馬表を眺めて、名前も知らねえのに「1−4、1−5、ン枚、百円券で……」などとノミ屋へ入れたんだ。
ノミ屋ってね一杯飲み屋じゃないよ。いうなればモグリの馬券屋さんだ。当時はこんな行為も半ば平然と行われていたんだ。見つかれば罪になることは当り前だが、胴元はヤーさん関係だったらしいね。そして、今なら当り前のように飛び出す万馬券も、その頃は滅多に出ないんだが、万一出た場合は支払は1万円が限度だったな。
しかしねえ、下手な考えも休まずにやっていてさえ当たらないのに、名前も知らない馬を当てずっぽうにやって当たるわけがないやね。ゼニをドブへ捨てるようなもんなんだけど、それでも中毒症状は委細構わず、セッセセッセとドブへゼニを捨てていたなあ。ギャンブルってそんな魔力があるんだよねえ。
さて、先刻の馬券師さんが湯上がりで出てきた。
「競馬は休みだし、後はパチンコしかないなあ。パチンコ屋でも寄っていくか。しかしパチンコ屋もこの頃は出さないんだよなあ」
当たらない競馬にセッセと励み、出ないパチンコに通う……。そしてね当たらない出ないでいい加減イヤになってきた頃にド〜ンと当り、ドサッと出るんだよね。ギャンブルの神様?は意地悪の性分なんだねえ。
そんなことだから馬券師さん、じゃない、パチンコもやるからギャンブラードノねえ、そろそろ大当たりの女神がやってくる頃じゃないかな。明日は吉報?を待ってますぜ−−。
またショボクレタ顔でやってこないでよ−−。






