風呂屋のオヤジの番台ブログ

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2006年06月29日

巨人9連敗

「え〜と、今日は巨人の試合があるんだけどなあ……」

 アタシャ、新聞のテレビ欄をみながらつぶやいた。脱衣場のテレビは巨人戦がある日はいつもそこにチャンネルを合わせておくんだが、今日はゲームがあってもテレビはなさそうだ。巨人の試合はテレビ局のドル箱でオープン戦から全試合が放映されていたんだが、最近はちょいちょい放送されないようだ。

 近年のプロ野球はサッカーに押されているのか、その人気に翳りが見えていたところに、絶対的な人気を誇った大巨人軍が昨年来の凋落傾向から輪をかけた今期の不成績で視聴率がガタ落ちらしい。巨人の凋落はイコールプロ野球人気の衰退にもつながるから関係者は頭が痛いだろうに。

それにしてもよく負けるなあ。脱衣場の人気もまるでない。

「どうせまた負けるんだろう」とG党は諦めているようだ。熱も冷めかかっているようでもある。

 先日は交流戦で19才の日ハム・ダルビッシュに捻られたが今日は横浜の高卒ルーキー、18才の山口に6回2安打という体たらくだ。どうしたジャイアンツ。風呂屋のオヤジは圧倒的に多い脱衣場のG党にホントご同情申し上げるよ。

 今日は巨人戦の放映がなかったのでスポーツニュースをかけていたら入ってきた中年の男性が吐き捨てるように言った「また負けやがった。もう野球なんか見ないッ」

 70ほどのGキチさん、長年の常連さんだが、この方は溜め息まじりに言う「今は飛車角がいないんだからしょうがないかなあ」。飛車角ねえ、高橋、小久保に阿倍の欠場をいうんだろうが、今日は高橋、阿部が復帰したものの、由伸は代打で三振、阿部は4タコだった。本格的な復調までまだまだ時間が掛かりそうだな。

 ラジオを聞いてきたというこれまた極め付きのGキチである60代の奥さん。「原監督には去年の堀内にない若さで引っ張る力を期待したんだけど、このまんまじゃ監督休養になりかねないわね。なんだか新聞を見るとチームに一体感がなくなり、不協和音が出てきたっていうじゃない。今年はもうダメかもね」。いやはやお気の毒。

 それにしても、ともう一回言うけど、ほんとによく負けるよ。巨人の連敗記録は長嶋監督が初年度でビリになった75年時の11連敗だというけど、今年もこのままじゃそれを追っかける展開になりかねないな。何せ交流戦前に14もあった貯金が今や借金4だ。6月の星が6勝18敗で首位とのゲーム差が9・5だとか。なんでこんなに弱くなったのかねえ。主力が故障したからってどう見てもこれでは負け過ぎだ。先刻の奥さんじゃないが「監督休養」も有り得るよ。ナベツネさんに可愛がられているタツノリ監督だとはいえ「どこまで続くぬかるみぞ!」となりゃあファンが承知しなくなるんじゃないの。その場合、次期監督は誰がいいんだ?。エッ、スゴイ妙案があるって?。何々?、ジーコがいいだろうだって?。オイオイ−−。

 アタシね、V9時代からの常勝巨人軍には、くたばれジャイアンツ!の立場だったけど、こうまで弱いジャイアンツを見せつけられたんでは気合も乗らないし、何よりも当湯(うち)のお客さんに気分爽快な入浴を与えられないやね。ここは敵に塩を送んなきゃな。オーオージャイアンツ!、いざゆけそれゆけ巨人軍!。

2006年06月27日

全面禁煙のその後

 年配のダンナがくわえタバコで入ってきた。久しぶりに見えた人だ。ロビーの灰皿で吸い殻を消そうと思ったら灰皿がない。アレッ?…とアタシを振り向いた。

「ああ、申し訳ない。今度銭湯も全面禁煙になったんで、灰皿は置いてないんです」

「エッ風呂屋も禁煙?。おいおい湯上がりの一服もダメってことか」

「すいませんねえ、そこのポスターに書いてあるけど、なんでも健康増進法ってものができて病院、学校、公共施設に公衆浴場も健康増進の拠点にしようってことて禁煙になったんですよ。ゼンメン・キンエン……」

「ふ−ん、この年になって健康増進かあ。もう先がないのに楽しみを取られちゃったらかえって健康によくないよ」。なるほど、気持ちはわかりますなあ。

 ご夫婦でお見えになった中年のご主人。いつもダンナが一足早く上がってきて、ロビーで奥さんをお待ちになるんだが、今日は出てくるやそそくさと表へ向かわれた。

「オヤッ、先に帰っちゃうのかな?」、と思いきやなんと玄関脇のスタンド灰皿の前でフーッと紫煙をくゆらせている。ホホウ、うまそうに吸ってるわい。

 次いではこちらも中年の奥さん。フロントで二人分の料金を払われる。

「お父さんも一緒?」

「そう、今来ます。表でタバコを一服吸って、入ってきますから」

 料金改定とともに実施された浴場内での全面禁煙だが、始まって一ヶ月になる。

 ポスターを掲示したときはかなりのブーイング?もあったけど、いざ実施となってからはみなさん「今のご時世じゃしょうがないなあ」とアキラメの心境になってくれたのか、一応店内からはタバコの煙は消えてしまった。「風呂屋で湯上がりの一服もできないようなら風呂へ行くのはなるべく控えよう……」といったおヒトもいなかったようなのはシアワセでしたな。そんな方を2、3紹介しよう。

 毎日サウナに入る40代の男性。ついこの間まで2時間余の入浴時間中、数回の一服タイムを取る人だったが、禁煙になっても風呂の時間は変わらず、禁煙を守ってくれている。さらに50代の女性でヘビースモーカーの方、こちらもサウナ党であり、脱衣場ではタバコを離さないような人だったというが、やはり長い入浴時間の間タバコを口にしないらしい。皆さん頑張って協力してくれてますなあ。

 脱衣場に張ってある墨田区の広報紙「すみだ」を眺めていた30前後の青年。新聞のトップは「道路でたばこは吸わないで。歩きたばこ・ポイ捨ては禁止です」の見出しである。アタシャ青年に聞いてみた。「アンタはたばこを吸うの?」「ええ、吸います。だけど道路でも今は吸えないんですから、お風呂屋さんが禁煙になるのもしょうがないですよ」。ホウ、ご理解まことにカタジケナイ。

 そしてアタシである。アタシもご多分に漏れず大のプカプカ党なんですが、一回のフロントで約2時間、ひたすら禁煙です。何せお客さんに禁煙を強いてる当のオヤジがこっそりでも吸うわけにはいかない。で、水を飲んだり飴をなめたりの難行苦行?ですわ。その分自宅で吸っちゃいますなあ。タバコはほんと魔力ですよ。ウン、ここまで書いてきたら何やら魔力に襲われてきたぞ、ま、一服つけようっと−−。

2006年06月24日

料金改定のその後

 入浴料金が6年ぶりに改定され一ヶ月が経った。6月1日から30円上がって大人430円になったんだが、お客さんへの周知度は当方が思った以上に早かったようだなあ。当節、値上がりを喜ぶ人なんかまずいないであろうに、表面だった苦情もさして聞こえなかったから「まあ、しようがないだろう」という感じだったんでしょうかねえ。何にしても有り難くほっとしているところです。

 今回の改定で特徴的だったのは共通入浴券のあり方だった。これが値上げに対するかなりの緩衝剤になったような気がするんですけどね。つまり従来の入浴券は10枚単位の販売で4000円のところを3800円、200円の値引きだったが、今回は10枚・4300円を300円割り引いて4000円である。つまり、またつまりになるが、10枚毎の前金にはなるものの、入浴券を購入すれば単価は値上げ前と同じ400円という勘定になるから、実質は値上げにはならないという勘定なんですな。

 そのせいで今までは現金でお払いになっていた人達の多くが入浴券を購入されるようになりましたなあ。したがって入浴券の売上枚数が急増しましたよ。

 業界では以前から「料金改定の一方で、お客さんに魅力のあるサービス制度の導入を検討すべき」という議論がなされていて、今回の入浴券の設定はその方向に沿ったものの一つであると思うんです。お客さんにとってはささやかなもんでしょうが今後とも営業全般についてのよりよいサービスを検討していきますのでご支援ください。

 ということでフロントへ戻ろう。開店と同時に「うちの風呂だと温ったまんないので」というマクラが口癖のおばちゃんがお見えになった。70半ばなのかなあ。フロントの価格表をみて言う。「今日からお風呂銭が上がったのね」

「今日から?、ヤだねえおばちゃん、今月一日から変わってんのよ。おばちゃんだってもう何回も払っているじゃない」

「あ、そうだっけ。どうもこの頃ボケが強くってさあ。それでお風呂の券はいくらなの?」。オヤオヤ、先日も同じことを聞かれたましたっけなあ。

「10枚で4000円。これなら前金だけど今までの値段と同じになるからね」。

「そうッ、じゃ今日はその券を2枚頂戴!」。

「2枚?、あのさあ、この前も説明したけど、券は10枚買ってもらうから割引になってんで、一枚二枚じゃダメなんだけどなあ」。

「そうだっけ、どうもこの頃あたしモウロクしちゃって……」

モウロクねえ。おばちゃんさあ、年取れば誰だって物忘れがひどくなりますよ。アタシだって忘れっぽくてしょうがないもん。だからさあ、分かんないことがあったら何回でもど〜んどん聞いてよ。そして入浴券を買ってお風呂を楽しんでよね。アタシらも値上げに見合うお風呂を一生懸命に作っからね−−。

2006年06月23日

会話が少なくなったねえ

 最近、見えるようになった30代の男性だが、来る度に携帯電話で話しながら入ってくる。今日もそう。しかしいつもならロビーで一応ケータイを切るんだが今日は違った。ケータイで喋りながらフロント前に立ち料金を払われる。電話をアゴと肩の間にはさんで430円の小銭をポトンポトンとカウンターに置く、その間電話での会話は続けたままである。当然アタシの「いらっしゃい!」の言葉は耳に入らない。料金を払うとそのままの格好で喋りながら脱衣場へ向かった−−。

 携帯電話全盛のご時世だから、電話を掛けながらやってくる人は多い。脱衣場でもチリリンのモシモシと頻繁にやっている。しかしねえ、入浴料を払いながらケータイを放さなかったヒトは初めてだ。

 これ、どういうことなんだろう?。「この男性は食事ん時も箸を持ちながらケータイを使ってんじゃないか」なんて思っちゃう。そんなに忙しいとは到底思えないし、これは現代に蔓延している携帯電話依存症といわれる類なのかな。このような行動は今日ビの若い人にとって別段珍しい振舞ではなく、相手に対して失敬だとも思わないんだろうねえ。

 しかしこのヒトね、これだけケータイ相手に喋っているのに、普段の挨拶、会話がまるっきりないヒトでもあるんだよな。アタシのときどき言う「暑いね、寒いね」の挨拶にもほとんど返事がない。黙ってゼニだけポイッと払い通り過ぎる。反応がないからっていちいち文句をいう筋合いのものでもないがフロントとしてはなんとなく味気無い。もっともゼニも払わずに無言で素通りされたんではそれこそ味気なく「モシモーシ」となっちゃいますがね。

 先日の朝日新聞の取材で記者さんが「お客さん気質で変わったと感じることは?」という質問があったんだが、アタシャ第一に「会話が少なくなった」ことをあげたんだ。これは昨今の老若双方に当てはまるが、やはり若い人に多いなあ。高齢者の方でも無反応な人もいるが、大方はそれなりにご挨拶をされる。若い人にもきちんと、それこそ歯切れよく挨拶をする人もいるんだが、どちらかといえば挨拶が苦手、あるいは面倒臭いという人が多いようですなあ。アタシャ、若者がきちんと挨拶をすると、それがたった一言か二言でも「オッいいなあ……」と嬉しくなっちゃう。

 こと銭湯に限らず、世間から会話がどんどん少なくなっていくことは、一つに家庭の日常生活での影響も多分にあるよう気がする。例えば、少子化でマンション住まいの家庭では隣近所のお付き合いなども無縁であり、他人と接する機会が希薄になる傾向が強い、だから普段の生活そのものに会話が少なくなっているんでしょうなあ。

 そのほかにも会話が少なくなっていく要因は様々にあるんだろうが、一介の風呂屋のオヤジがエラソーに喋ってもはじまらないからこの辺で止めときましょう。

 何にしても銭湯は触れ合い、温もりの空間である。のんびり・ゆったりと湯を楽しみ、他愛のないお喋りでくつろいでもらいたいと、いつもいつも願っているんですけどねえ−−。気軽に「コンチワァ(今日わあ)!」と言いましょうや。

2006年06月22日

井戸端会議

 11時半、そろそろ最終ラウンドである。女湯から3、4人の奥さん方の楽しそうな会話が聞こえてくる。仕舞風呂近くにお見えになる常連さんである。みなさん60代かなあ。湯上がりのゆったりとした雰囲気がフロントへも伝わってきて、アタシャこれこそ銭湯のふれあい・くつろぎの姿だといつも思っている。

 50そこそこという男性がフロントへ出てきた。この人も常連さんであり、明るい人である。掃除会社で働いてるらしく、風呂に見えると「今日はマンションをン軒もやってきたから疲っかれちゃったよ」というのが口癖でもある。

「ああさっぱりした、疲れがとれたよ。あれッ女湯、やけに賑やかだねえ」

「いつもの奥さん達が風呂上がりでお喋りをしてんのよ。まあ井戸端会議だな」

「エッ、ドタバタ…?、何それ……?」

「オイオイ、ドタバタじゃないよ、イドバタッ。井戸端会議を知らねえの?、ヤだねえ。昔さあ、まだ水道なんか無い時代に長屋の女の人達がね、共同井戸を使ってたんだな。そこで水を汲んだり洗濯などをしながらいろんな世間話をしたっていうことをいうんだ。つまり女の人達が楽しそうにおしゃべりをしていることを井戸端会議っていうのさ」

「フ〜ン、風呂屋でイドバタかあ、ちょっとウルサイ感じもするよ」

「いや、いいんじゃないの、楽しそうだしね。今はねえ脱衣場も風呂のうちなのよ。湯上がりでさあ、いろんな会話をしながらくつろぐっていうのはとってもいいことなんだ。アンタもよくパチンコとか競馬の話をしてるじゃない。それと同じさ」

「フ〜ン、脱衣場も風呂かあ。イドバタねえ……」

 掃除屋のダンナ、今いち分からんような顔でお帰りになったが、その時、井戸端会議の奥さんの一人もお帰りになるようだ。「じゃあお先に、おやすみ、さようなら〜っ」という声がした。それに対して誰かがご挨拶を返した。

「サヨナラーッ、気を付けてね…。 ♪さよ〜ならさよォならァ〜♪」、オッホ、歌でお返しになったよ、ウーンねえ…。アタシャ聞いていて、といっても聞き耳をたててるわけじゃない。店内にはもうわずかなお客さんしかいないから否応なく聞こえてくるんだ。

 ホホウ 面白い、なかなかいいねえ、と思ったらなんと何と、続いてお二人ほどが一緒にハモったよ。♪サヨ〜ナァラ、さよォならァ…スキニナッタヒトォ〜〜♪

 おばちゃんコーラスだな、ウン。長年のフロント稼業でもこんな光景はめったにお目にかかれないよ。アタシャなんとなく微笑ましい気持ちでいたら、出てきた奥さんがフロントへも「さよなら、お休みなさい」と声を掛けられてお帰りになった。

 アタシャお客さんの背中に「有難うございました、お休みなさい」の言葉とともに小さくハミングだ、♪さよォなァら サヨォナラァ〜スキニナッタヒトォ〜♪ −−。

2006年06月21日

Wカップ第2戦

「また負けちゃったなあ」「エッ負けた?、ドローじゃない……」

「ウン、引き分けだけど、1点も取れなかったっていうのは負けと同じよ」

 前回のオーストラリア戦での敗戦に「日本はもう絶望的……」と宣った当湯(うち)の辛口評論家である。70近い方だが、いつも辛辣なご意見を述べられる。

 今日もそう。昨日のクロアチア戦との第2戦に必勝体制で臨んだニッポンが0−0のドローという結果にご遠慮なさらない。

「日本のレベルは低いねえ。あんな人口500万人ぐらいな小さっちゃな国のクロアチアに、プロチームが30もある中から選んだニッポンがまともに勝負できないんだからなあ。昨日だって中身は押されっぱなしで、PKで川口の奇跡的なプレーがなかったら完敗だったよ。そして今度はブラジルだろ。十両が横綱にぶつかるんだからやるだけ無駄っていうもんだな」。

 ウーン、やるだけムダか−−。アタシャ、サッカ−はまるっきりのシロウトだからもっぱら聞き役だが、それにしてもキビシイねえ。

 アタシね、クロアチア戦が始まる前にうちの者に聞いてみたんだ。「第一戦と第ニ戦はどっちがテレビを見るだろう?。初めが負けちゃったから今度はあんまり期待しないかな」に対して家人はこういうんだな。

「いや初戦を落としたから今度こそって気合が入るんじゃないの。だから今回のほうが見るんじゃないかな」

 そして昨日の本番である。テレビが始まったらやっぱりヒマになった。しかし先日もそうだが、ヒマを覚悟していたから「思ったより……」だったな。

 サッカーファンは「こんどこそ!」と期待を込めるんだろうが、アタシ程度の俄かサッカーファンは「また負けるんじゃねえのかなあ」と悲観的に見てしまう。で、ハーフタイムになるとそんな俄かファン?がぼちぼちとお出でになった。

「なんだかよくわからんけど、押されっぱなしに見えんだよなあ。また最後になっと点を取られちゃうんじゃないのかなあ」。

「どうもサッカーはシュートの場面がないとボールが行ったり来たりしているだけでよくわかんないんだよなあ。なんだか負けそうな気がしたんで風呂へ来ちゃった」

 これはアタシと同じレベルの人ですな。詳しい人もいる、50代の男性である。

「また苦戦ですねえ。中田、川口が頑張ってんだけどFWの柳沢が今いちなんだよなあ。後半になって暑さにバテないといいんですがねえ。この前はスタミナ切れだったからね。この分じゃドローがいっぱいかなあ。とにかく風呂に入ってからだ」

 続いて現れたのは近所の飲み屋のご主人、70代である。

「さっきまで12チャンネルの歌を聞いていたんだ。『想い出のメロデイ』っていう番組でさあ、昭和の名曲がどんどん出てくんだ。クールファイブなんかが出てきてよかったなあ、昔の唄はいいねえ……」

 フロント前のテレビをチラッと見ただけで サッカーのサの字もおっしゃらない。

 日本国中がテレビの画面から押し寄せるWカップの怒涛に飲み込まれているような最中でも「われ関せず」のおヒトもいるんですよねえ。

2006年06月19日

コメンテーターはすごいです。

 論客ですなァ−−。もう70過ぎたのよと言われるおばちゃんの話なんだけどね。

 この方、普段からどこぞの店は接客のマナーがどうで、値段がこうで……などとかなりキツイ言葉で斬ってしまうヒトなんだが、今日は改めてその舌鋒のスルドサ?に感じ入ったというところ。雨降りの閑散とした夕方のフロントである。

 おばちゃんが湯上がりで出てきた。フロント前の冷蔵庫からジュースを一本求め、飲みながらアタシに話し出す。一見、フツーのおばちゃん風なんだが、それがねえ。

「うちの隣の工場が不景気でツブレちゃったんだけど、その跡地を不動産屋が買い取ってマンションが建つことになったのよ」

「そう、この頃は新しく建つのはマンションばっかりですなあ。これじゃ下町がマンション街になっちゃいますなあ」

「そうよねえ。今さあ、景気がよくないから小っちゃな会社はどんどんつぶれちゃうのよね。そして将来は銀行も危なくなるだろうっていうのよ」

「えっ、銀行が?。銀行は不良債権を処分して持ち直したんじゃないの」

「それがねッ、銀行が悪くなるのは今どんどん出来ているマンションが原因なのよ。一般企業は景気が悪いからあんまり銀行からお金を借りないじゃない。そこで銀行はやたらにできる高層マンションの購入者にどんどんお金を出すのよ。しかしねえ、マンション業者が斡旋して30年以上のローンを組んでマンションを買ったわいいが、企業の業績が伸びずに悪くなるから給料は下がっても上がることがないでしょ。そうなっちゃうとローンを払えなくなるからどんどん焦げ付いちゃう。今建ってるマンションの大部分がそんな具合になんのよね。だから銀行が倒産……」

 ホホウ、銀行がねえ。おばちゃん、口についたジュースを軽くぬぐって続ける。

「それもこれも政治が悪いのよ。今度のさあ、日銀総裁のフクイなんとかなんて、ムラカミファンドへお金を出してごそっと儲けたんでしょ。本当なら総理大臣がクビにしなけりゃいけなのに辞めなくてもいいなんて言うんでしょ。大体ね、フクイなんかさっさと自分から辞めるべきよ。辞めたって食うに困んないんだろうにねえ。往生際の悪い男よ。世間にはこんなのがごまんといるんだからねえ」

 ホホウ、なるほどねえ。おばちゃん、今度は残りのジュースを一気に飲み込んだ。

「それと今のテレビのお笑い芸人という連中さあ、芸人というくせにゲイもヘッタクレもないじゃない、ただフザケているだけじゃないの。そんなのをみせて、どうだオモシロイだろうなんてやってんだから話にならんわよ」

 ホホウ、な〜るほど。アタシャおばちゃんの言葉にいちいち合づちを打つもんだから、おばちゃん留まるところをしらない。

「それとさあワイドショーに出てくるコメンテーターっていうの。あれなんなのよ。大したことがない連中が出てきて、天下の大評論家みたいにエラソ−に喋ってんじゃない。テレビに出るとみ〜んな一流の人間だと錯覚しちゃうのね」

 ウーム舌鋒、ますますスルドサを増していく−−。当湯(うち)のコメンテーターもどうして天下の評論家ですなあ。

2006年06月17日

銭湯は寄席ですよ

 先日、このブログに書かせてもらった墨田区の高齢者事業「湯処・語らい亭」に今回、講釈師の田辺一鶴さんが出演したんだ。今まではボランティアの人達がプロはだしの芸を見せてくれていたが、本物の芸人さんが出てくれたのは初めてである。お弟子さんである女流講談師とスタッフの女性の3人連れで1時間半をフルにつかって大熱演。20人の参加者は一鶴ワールドを十分に味わったようでしたな。

 一鶴さんは銭湯の応援と講談の普及を目的に今、都内の銭湯行脚?だそうであり、全国の浴場を制覇すると笑って話している。「東京ニュ−ヨク寄席」と染め抜いた幟を立てての講談会である。もちろん入浴とニューヨークを掛けたしゃれだろうが、講談を東京の銭湯を発信地にしてニューヨークへさらには世界中に広めようとの大いなる意気込みとアタシは勝手に解釈してんですけどね。

 そして、こっからは一鶴師の話から外れるが、アタシャ「ニューヨク寄席」の文字を見てちょっと思ったんだ。銭湯と寄席−−この二つはかなり共通点があるようなんだ。寄席は「笑いを中心に、癒し、安らぎ…」など、世知辛いご時世に誰もが求めているエッセンスみたいなものがウリだよね。銭湯もね寄席に習い「憩い、安らぎに笑い」などの詰まった空間にしたいし、その要素は十分あると思うんだ。広い銭湯に入浴することで憩い、安らぎ、ゆとりを感じてもらい、笑いの生じる会話ができるような交流の場所であったらそれこそ庶民の「湯処」じゃないか−−とね。

 そこで思い出したのが、ちょっと古い本なんだが「スコッチと銭湯・田村隆一著」なんだ。田村さんは詩人であり酒豪でありそして粋人としても評の高かった人なんだが、とても銭湯を愛してくれた人なんだよねえ。その田村さんが「スコッチと銭湯」の中でこんなことを書いてくれている。

「−−風呂屋に行くというのはどうも寄席に行くって感じなんだなあ…銭湯に入る、すると客ではあるが一種の演技者でもあるのさ。それぞれ一人一人が個性を持っていて、着ているものの脱ぎ方、身体の洗い方、喋り口の違い…しかも演技者達は同じ町内の人だから、個性と個性が湯気の中から調和をつくりだす、やはり銭湯は寄席ですよ…家族というタテ糸と、町内のヨコ糸の交わる処に銭湯がある。つまり欧米の教会の役割を銭湯が小さなコミュニテイではたしているような気がする…銭湯とはただ湯につかって身体を洗う空間ではない。たとえば子供と銭湯通いをする。子供は、はじめ手伝ってもらって、こわごわ湯船に入るのだが、やがて自立するようになる。自立するためにはマナーとかしつけがものをいう。やがてその子にプライドが芽ばえ、大きく育っていく…魂の開放感は銭湯という教会に詣でなければ味わえませんよ……」

 いかがでしょう銭湯寄席論。田村さんはその昔の銭湯風景を洒脱に描いてくれたんだが、現代の銭湯もそうありたいねえ。しみじみ思うよ、

 ということで今日はいつもと違い真面目なブログになっちゃったけど、アタシャもともとキマジメな人間ですからねえ−−。

2006年06月15日

女性記者がやってきた

 アンタさあ、この前はW大の学生さんが銭湯の取材にきたって話したけど、今度は新聞記者さんが見えたんだ。例によってゴチャゴチャ書くけどまた聞いてよね。

 一昨日である。7時半、夕飯を済ませてフロントへ戻ったら、湯上がりの女性がアタシに話しかけてきた。30代かなあ、髪の毛の長いスラッとした人である……と書き出せばアンタはまた「美人か?」と聞くんでしょうなあ。その通り。キレイな人である。「しかしオヤジはさあ、この前も早稲田の女子大生をミス・wなんて言ってたけど、女の人はみんな美人に見えちゃうじゃないの?目が悪くないかい?」。何をおっしゃる、アタシャ番台稼業ン十年、女性を見る目は肥えてんだ。そのアタシが美人だっていうんだから間違いない。アンタもつまんないことを聞かないでよ。

 さてっと、そこで……エ〜ト、何だったっけな、アンタが余計なことを口出しするから忘れちまったよ。う〜んとそうだ、この女性がね名刺と新聞を出されたんだ「朝日マリオン編集部・清水喬子」さんだそうである。そして新聞を開いて言うんだ。

「今度、朝日のこのコラムで銭湯を特集するという企画があるので、ホシノさんにお話をうかがいたいのですが……」。なるほど。先日はシロウトの早大生だったが、今度はれっきとしたプロの取材だ、それも大朝日である。悪くない。

 記者さんは取材要旨のメモを出されて簡略に用件を話される。にこにこと笑顔で聞いてくる姿勢はまことにいい。後日改めて取材にきたいとのことだが、アタシャ浴場業界のPRに少しでも役立つもんならなんでも受けちゃう。アタシごとき一介の風呂屋のオヤジができることならいつも二つ返事よ。そして今日は大朝日の爽やかな美人さんの取材依頼じゃねえか、二つ返事どころは三つでも四つでも返事をしちゃうよ。

 そして今日である。相変わらずにこにこと明るい雰囲気で見えられたんだが、なんと花束をお土産にお持ちになってくれたんである。「ウーム、知性的でキレイな人はやることも垢抜けているよ。ヨシッ、今日はどんどん喋っちゃうぞッ−−」

 先日もらった取材要旨には前段に、都内の浴場が千軒を割る。ピーク時に比べ3分の1に減少とあり、「特集コンセプト…銭湯の魅力を再認識してもらう内容に」ということで、取材の要点が個条的に書かれてある。

 銭湯の抱える問題とは…現状の問題点、これからの工夫、銭湯をとりまく今を端的に。 銭湯を支える人々の思い、銭湯ならではの空気とは。 銭湯の楽しみかた銭湯博士が案内。となっている。

 そしてアタシに対する質問は「いまどき銭湯の楽しみ方」である。

 それにしても随分喋っちまったなあ。この手のことには、業界で長年ウロウロしているせいか、折りに触れてあるんだが、今日は2時間近くも独演会的に口角アワを飛ばしちゃった?ようだ。何せ聞き手がいい、にこにことメモを取りながらも、時にはウッホッホッと気取らず遠慮なく大きな声で笑ったりもする。質問の合間に長い髪の毛をさりげなくかきあげる仕草もいい。取材内容のコムズカシイことは記者さんがいずれ要点を書いてくれるだろうから、その新聞を待つことにしてここでは省こう。

 掲載日は6月21日の夕刊だというから楽しみだ。

 ということでそこのダンナッ、美人記者さんがせっかく銭湯を取り上げてくれたんだからアンタも絶対に読んでよねッ−−。

2006年06月14日

湯処・語らい亭

 墨田区ではね、浴場組合とタイアップしての高齢者事業として、毎週金曜日の「敬老にこにこ入浴デー」と並んで「湯処・語らい亭」という行事もやってんだ。

 開店前の銭湯の脱衣場を利用してボランティアの人達が出演する講習会…いや寄席的な集いかな。各浴場で月に一回 敬老入浴日の行われる金曜日に開催して、終わるとそのままお風呂を楽しんでもらうという趣向なんだ。健康の話、相撲甚句、民謡と三味線、銭太鼓、さらにはカッポレからハワイアンのフラダンスなどなど芸達者なボランティアの人達が熱演する一時は高齢者の方々に大好評なんだよね。

 そこで今回の「語らい亭」なんだけど「みんなで千代紙細工を楽しもう」という企画なんだ。80余才の女のセンセイが、新聞のチラシなどの古紙を使って鯉のぼり、ヒナ人形などの作り方をコーチしながら折り紙の面白さを知ってもらおうという寸法なんだ。そしてこの催しはお茶を飲み茶菓子をつまみながら行われるんで100円のお茶菓子代という会費制で、前もって申込をするシステムになってんだな。で、企画が決まるとポスターを掲示して「サアいらっしゃい!」とやるんだ。

 というイントロで本題に入るけど、ハア、前置きが長過ぎるって?。まあそう言いなさんな。物事は順を追っていかなきゃあ理解されませんがな。

 いつも開店早々にお見えになる80近いだろうというおばちゃんが、湯上がりにフロント前に張ってある「語らい亭」のポスターを眺めている。アタシャちょいと声を掛けた。「千代紙細工なんで、ヒマがあったら来ませんか?」。ところがおばちゃんアタシを振り向いてこうおしゃったよ。「あたしね、こんな千代紙とかお習字を教えていたのよ」。ホホウ、教えて…ねえ。おばちゃん、アタシの声に今度はカウンターの前へ寄ってきてさらにご説明だ。

「あたしねえ、昔は学校の教師をやっていて、習字は院展にも入って表彰されたことが何回もあったのよ。そのほか絵や手芸に××も教えていたし……」。ウーン、こりゃあスゲエ。ちょいと肥り気味のお身体にメガネをかけたまあお年相応なお顔で一見下町のおばちゃんという雰囲気なんだが、どうして知性派なんですなあ。

 書道は師範で院展にも入選するし、絵画も得意で手芸も教えていたし…かあ。スゲエな。これは女性だから文武両道とは言わないし武芸百般とも言わない。え〜と、こういう人を表現する場合どんな形容詞がいいんだろ。ウーム、スーパーおばちゃんだな。当湯では指折りのインテリさんということになるかな。人はホント見かけで判断できませんなあ。なにイッ、風呂屋のオヤジだけは見かけ通りのジイさんだって?。

オイオイ−−。

2006年06月13日

Wカップ

 負けちゃったなあ−−。Wカップの初戦で日本は何とオ−ストラリアに3−1で完敗しちゃった。一夜明けた今日、開店と同時にお見えになった中年の男性がアタシに向かっていきなりおっしゃった。

「日本の負けは挽回不能の惨敗だよ。次のクロアチアはオーストラリアより実力が上だから昨日以上に厳しいだろ。ブラジルにはどう見ても勝てっこないからもう日本は絶望的さ」

 憤まんやるかたないといった感じだ。

 ホウ、そんなもんですかなあ。アタシャ、サッカーにはまるっきりのシロウトだから、人様のいうことはみんな「そんなもんですかなあ」と思っちゃう。しかし、やってみなきゃあ分からんでしょッとも少〜し思うんだ。そして新聞である。

「日本まさかの逆転負け−−残り9分の悪夢」などと大見出しで敗因を多角的に分析している。始まる前には「日本の勝算あり!」

と、多大な期待を持たせたのに、終わってみれば、シロウトには弁明と反省の記事ばっかりに見えてしまった。ある評論家のコラムには次のクロアチア戦についてこんな話が載っていたっけ。

−−ここにきて急激に暑くなってきたドイツの気候が試合をかなり左右する……クロアチアの主力は30代半ばのベテランがいる。彼らにとって気温30度を超える暑さは相当に過酷なものとなるはずである。一方の日本はフィールドプレーヤー全員が20代、そうでなくても機動力で優位に立つ日本のサッカーは、相手のガス欠によってさらに威力を発揮する可能性がある……暑くなれ暑くなれ、今日よりも暑い一日にならんことを!」てなことだ。ウーン天候頼みなのかあ−−。

 さ〜て昨日の一日へ戻ろうか。前回のWカップより盛り上がりが今一つかなと思っていたが、今日は開店早々から脱衣場の話題はオーストラリア戦一色だったな。皆さん10時からのテレビに標準を合わせているようだ。さすが日本が登場となれば一気に盛りあがったなあ。この分じゃテレビが始まったら風呂はカラッポになっちゃうなあ−−。それを裏付けるように、7時過ぎになったら普段は遅いお客さんが何人も姿を見せた。もちろんサッカーがあるから……という。ウーン、いよいよ開店休業を覚悟しなきゃあなんないな−−。

 そして10時、予想通りに客がいなくなった。しかし、「あたしはサッカーがあんまり…」というお客さんがボツボツ見える。カラッポを前提としていたアタシにとっては思ったより来てくれるじゃないか−−と感じる。人間の心理って面白いね。

 11時半を回り閉店が近くなったが、脱衣場にはまだ数人のお客さんが見ている。おばちゃん達のカン高い応援が聞こえてきた。「1ー0で勝ってるわよッ、このまんまいくとねえ」ところが同点である「アラアラッ、同点になっちゃったァ」さらに逆転である。「あッあッ、負けちゃった」「エッ、逆転されちゃったのォ、カワイソーッ」そしてそして無情に終了のホイッスルである。

「アラアラアラッ、ウワアッ、負けちゃったのかあ、ウワアッ、どうしようッ!」。

 おばちゃん、どうしよッ!たってねえ−−。

2006年06月12日

にこにこ入浴デー

「また入れてもらえんのねえ」とお見えになったのは95才のおばあちゃん。女湯では最高齢であろう。しかしカクシャクとした方だ。「あたしはいつも一人でしょ。だから金曜日はお風呂に入れてもらっていろんな人のお話を聞くのがすごく楽しいの」

 そう、今日は金曜日、敬老入浴デーなのだ。敬老入浴は23区それぞれに特色を出して行われているが、墨田区では毎週金曜を中心に菖蒲湯・柚子湯・敬老の日、さらには偶数月の26日を「フロの日」として高齢者に浴場の無料開放を実施している。

 65歳以上の方に「敬老入浴証」を支給し、それをフロント(番台)に提示してお風呂を楽しんでもらっているわけだが、冒頭のおばあちゃんの言うように高齢者の方々には大好評であり、毎週の一浴場の平均的利用者数が130人余である。区内40余浴場の平均であるから当然多いところは200人の大台を越す浴場もある。この130という数字、現在の都内の浴場の有料入浴者数の平均に匹敵するんだ。であるから敬老入浴日は普段の倍以上のお客さんを数えることになる。その昔の銭湯を彷彿させるような混雑の一日でもある。そこで賑やかに湯を楽しんでくれる敬老入浴のあれこれをちょいとスケッチしてみようかと思った次第。

 敬老入浴はお見えになるとまず入浴証をフロントへ提示されるわけだが、これが十人十色でなかなか面白い。一般的には「お願いします」の言葉で入浴証を出される方が多いのだが、無言でサッと見せながらお入りになるヒトから、きちんとフロント前に立ち丁寧に入浴証をカウンターの上に置き「とくとご覧あれ」的なヒトもいる。

 さらには入口の自動ドアーを潜るやもう入浴証を差し出すように入ってくるヒトに入浴証をおでこの当りに掲げるようにしながら入るヒト。何やら葵のご紋風ですな。

「この紋所が目に入らぬか」といった感じで、当方ハハーッとなる(わけがねえよなあ)。おばあちゃんに多いのが、フロント前で大きな荷物の中へ手を突っ込み入浴証のありか?を懸命に探しているヒト。なかなか出てこないとフロントの方がジレてしまう。「おばあちゃん、いいから早く入りなさい、となっちゃう。

 しかしねえ、どんな形であれ「見せよう」となさる姿勢はいい。見せるのがルールなんだから当然なんだが、中にはこんな方も過去にはいたんだ。例えば「見せなくっちゃイケナイノ?」というジイチャンから、黙って入ろうとするバアチャンにアタシから入浴証を見せるように催促したらなんと「見たいの?」とホザいた、いや宣ったのには驚きましたなあ。も一つ、こんなオジンもいたんですわ「毎回来て、顔を知ってんだからいちいち見せなくってもいいだろうッ」ですと。アタシャ言ったよ。

「アンタねえ、顔なんてみ〜んな知ってますわ。しかしねえフロントで入浴証を出すことはアタシらにとっては料金を頂くことになるんだ。大体ね、毎日見える常連さんがきちんと見せるのに金曜日だけやってきて、そりゃあないよ」とつい悪たれ口もきいちゃう。こんな人はほんの一部で、みなさんキチンとしてんですけどね。

 アタシャ思うんだけど、常連さんは普段から入浴料を払うという習慣をお持ちだから入浴証も風呂代感覚で対応されるんだが、金曜日だけの方は無料、つまりタダを前提としてお見えになるから「面倒臭い」となっちゃうヒトもいるんでしょうな。

 とまあ、あれこれ……だからまだまだ仰山あるんだけど、取りあえず紙数がないから今日はこんなところで、また次に書かせてもらいます。

2006年06月11日

サッカー人気は

 Wカップが開幕した。テレビは開会式の模様を報じている。60半ばの常連男性がアタシにいう。

「どうもサッカーは今いちなじめないんだよなあ。俺らは野球ならいいんだけど……」。なるほど、実はアタシもそんな感じですなあ。何せアタシらの若い頃は野球、野球だったもんねえ。サッカーはどちらかといえばマイナー的なスポーツで、サッカーが蹴球、バスケットが篭球でバレーが排球なんて呼んでいた時代だもんねえ。近年、Jリーグが誕生して、今やプロ野球を凌ぐ勢いなんだけど、アタシはどうもサッカー人気に乗りきれないんだよなあ。

 さて4年ぶりのWカップでメディアは連日大々的に報道しているんだけど、脱衣場では今いち盛り上がらないような感じなんだよね。前回と異なりドイツ開催ということも影響してんのかなあ、それと脱衣場の会話に高齢者が多いせいかなあ、などと思ったりもしてんだ。ま、これからが本番だろうがね。

 前回のWカップの時はスゴイ盛り上がりだったなあ。日韓共催ということで日本が世界の主役だったせいもあってか、まさに日本国中がサッカー熱にうなされたような状態だったんじゃなかったかなあ。当時、アタシは全国浴場新聞に「風呂屋のオヤジの日々往来」てなコラムを書かせてもらっていたんだけど、今日その古い新聞を引っ張り出してみたんだ。Wカップが終了した後の感想なんだけどね。

−−Wカップが終わって一ヶ月が経った。お客さんの口からサッカーのサの字も聞かなくなった。6月の列島を席巻した大熱風はなんだったのか。とにかく凄かった。老いも若きも、男も女も、さらには猫も杓子もポチもインコもサッカー、サッカーである。さほどサッカー好きとは思えなかった日本人を怒涛のような興奮に巻き込んだWカップとは巨大な魔物だったのか…(略)…いつもの時間帯より早く見えたご老体。ついこの間まで「サッカーは時代が違ったせいか、どうもなじめなくてなあ」と言ってたんだが今日はガラッと変わっていた。「サッカーが始まるから早く帰って見なくっちゃあ」と急ぎ足である…(略)…。対ロシア戦。またまたテレビ放映と同時に店は潮が引いてしまった。10時、日本サッカーがWカップでの初の一勝を見届けた人達がボツボツとやってきた。皆さん来るなり「勝ったねえ」と興奮気味に言う。老若を問わず言う。当方が何も言わないのに、である。すごい熱気だ…(略)…。Wカップの大フィーバーは一体なんに起因したんだろうか…(後略)。

なあんて書いていたんだよね。

 さて、明日はいよいよ日本の第一戦、対オーストラリアだ。緒戦を突破してさらに決勝トーナメントに進出したら日本列島は一気にフィーバーしちゃうんだろうか。テレビ人気もすさまじくなる。そうなりゃ風呂屋へ来るヒマがない。しかしねえ、この際だからアタシャ、フロントで閑古鳥を相手にすることになっても目ぇつぶって我慢するさ。そしてジーコ・ジャパンが、ここんところ暗〜い事件がばっかりの世の中に、世直しの明るいニュースを提供してもらいたいよ。ホントそう願ってますぜ。

2006年06月10日

W大の学生さんがやってきた

 アンタね、この間アタシんとこへ大学生が「銭湯を知りたい」ってやってきたんだけどさ、そのテンマツを簡単に説明すっから聞いてくれるかな。

 発端は電話である。若い女性の声だ。「W大の学生なんですが、今度、東京の銭湯っていうテーマで、銭湯のことをいろいろ調べたいんです。それでお話をお聞きしたいんですけどよろしいでしょうか?」。ホホウ、天下のW大学で銭湯の研究か、悪くない。銭湯を知ってもらうには好都合だ。断るスジはない。で、アタシャ「午後ならいつでもいいよ」と即諾である。

 そして先日、学生さんが予定の時間きっちりにやってきたんだ。それも女性二人に男性二人の四人連れ、団体さんだ。エッ?、女子大生は美人かって?。アンタはすぐ女性に興味をもちますなあ。美人に決まってますがな。清楚な感じでアタシに言わせりゃMiss・Wっていうとこだよ。ホント、アンタに見せたかったよ。

 そのミス・Wが言うんだ「今度、文化人類学の講座で江戸の文化ともいわれた東京の銭湯を映像化することになった……」とね。アンタ、文化人類学だぜ、分かる?。

 実はアタシにもさっぱり分からんねえんだが、まあいいだろう。秀才ぞろいのW大の学生さんのことだから風呂屋のオヤジを相手にコムズカシイ議論にはなるまいて。

 まずは先日電話を掛けてきた主役的?な女の子が自己紹介だ。「あたしは教養学部2年の森といいます」。オッホッ、都の西北、早稲田の杜……からモリさんがやってきたかあ……。ウン、こりゃあ間違いなくミス・Wじゃねえか。

 ということで取材が始まったんだが、昔の銭湯は?、そして現代の公衆浴場は?てな質問がボツボツと出てくる。それに対してアタシが余計なことまでペラペラ喋るんだな。何せアタシャ今日ビの横文字が多い世界はまるっきり分からんが、古い湯屋のことならまあ知ったかぶることが得意なんだ。アタシのそんなくだらんとも思える話にも学生さんは面白そうに聞いてくれるんだからアタシャ調子に乗っちゃう。

 そしてね4人のうちの二人がアタシに向かって写真機を回してんだ。エッ?写真機とは古過ぎる?それはビデオデスクカメラって言うんだって?。ほうアンタ、意外と知ってんだねえ。まあなんでもいいけど、そのビデなんとやらを回してアタシを撮ってんでな。しかしさあ風呂屋の萎びたオヤジを撮して文化人類学ですかねえ。「銭湯に棲息していた現代の化石」ってなタイトルでもつけんのかなァ。

 ま、そんなアンバイでアタシの話を聞いた後は浴場の写真をバチバチ撮っていましたなあ。そして最後に「今度、営業中にうかがってお客さんにインタビューしたい」となり、二日目、第2ラウンドへと移るんだが、長くなっちゃったんでこの辺で止めとこう。

 学生さんさあ、老いぼれた風呂屋のオヤジのことなんか後回しにして、江戸以来400年の伝統を持つ銭湯文化健在!の映像に仕上げてよね。出来あがったらテープを送ってくれるっていうんだ。そしたらアンタにも見せっからね−−。

2006年06月08日

シャレっぽくいきたいなあ

 アタシね、浴場広報誌の「1010」に十年来書かせてもらっている「風呂屋のオヤジのフロント日記」やこの「番台ブログ」もそうなんだけど、いつも、湯気がホンワカ漂ってくるような文章を書きたい。フロントでのお客さんとの交流をちょっとシャレっぽく愉快に表現できたらいいな、と思い願っているんだけど、風呂屋のオヤジの未熟な筆力ではなかなか思い通りにはいかないんですよねえ。

 そしてね、「シャレっぽく愉快に」と思いながらも、毎日多くの多様なお客さんに接していると、時には「ウーン……」と唸っちゃうこともあんですよねえ。

 ちょっと変わった人なのかなあ。30過ぎの男性だが今日で2回目のお客さんである。先日は帰り際に「ドライヤ−が目づまりをしている。あのドライヤーでは毛髪が焦げて……」とお叱りを受けた。アタシャそりゃ大変!とあわてて点検したんだけど別段異常はなかったんだよな。そして今日はサウナのお小言だ。サウナは初めての様子なんだが、上がってきてからがよくない。「さっぱりしましたか?」というアタシの言葉にこう宣った。

「ここのサウナは熱すぎる。サウナは大体80度ぐらいでいいんだ」。

「そうですか。しかし80度だとお客さんに低いと言われるんで高めに設定してあるんです」

「いや、ここのは熱すぎる。熱いのは…心肺機能が…汗がどっと出て…心臓の負担が……」何やら顔をしかめてコムズカシイ理屈を並べなさる。お医者さんなのかなあ。

 普通のヒトなら「さっぱりしましたか」と聞けば大方のお客さんは浮世の仁義もあるから「うん、さっぱりしたよ」と応えてくださるもんだ。ところがこの方は仁義もヘッタクレもない。ひたすら自己主張だ「高温だと…心肺機能が…健康維持に……」

 あのねえアタシャ、サウナを設置してニ十年近くになるんだ。その間、ぬるいと言われたことはあったが、熱すぎるなんていう文句は聞きませんでしたなあ。心肺が心配ならサウナに入らなきゃゃよござんしょ、と思いながらご高説を拝聴していたんだけど、そのうち浴槽温度の是非にも心肺機能が拡大していったのでアタシャちょいとご反論になっちゃった。

「お客さんねえ、心肺機能も結構だけど、銭湯は温泉病院じゃねえんだから若い人はもっと気楽に入ったほうがいいんじゃねえの。大体、風呂と飯は理屈がいらねんだ」

 ご反論はつい言葉がぞんざいになる。お客さんブツブツ言いながらお帰りになったが、フロントで風呂屋のオヤジを相手に心肺機能の説教をされるとはねえ。

 後刻サウナの常連さんにこの話をしたんだ。「そおォ、最近は何かというとすぐ文句を付けたがる若い人が増えてんだよなあ……」と笑っていたが、それにしても「シャレっぽく愉快に」対応できなかったのはアタシもまだまだ未熟ですなあ−−。

2006年06月07日

全面禁煙が始まりました

「悪いねえ、風呂代にタバコまでダメにしちゃって……」

「ウーンなあ。オヤジさん、これはもうイジメだね」とニヤニヤしながら皮肉っぽく言ったのは60代のサウナの常連男性。定年退職をして悠悠自適のような人である。

 ご本人は「リストラされちゃったからねえ……」と洒脱に言うおヒトでもある。

 6月1日から銭湯が全面禁煙になったが、料金改定と同時での実施であるため愛煙家にはダブルパンチの感じでしょうなあ。早めに禁煙ポスターを店内にべたべたと貼り、周知にこれ務めてきたんだが、ポスターを出した当初は「エッ、銭湯も禁煙かよォ」と慨嘆に落胆に失望に……(もうないかな)、という声が多かったですなあ。タバコを吸わない人は愛煙家を気遣ってかほとんど何も言わないけど、タバコ好きには「オイオイ……」と文句の一つも言いたくなりますよなあ。

 70半ばのご隠居風なダンナのつぶやきです。「湯上がりの一服は寝起き、食後の一服と並んでウマイもんなあ」。で、アタシャ説明やら言い訳に大童というところ。

「すいませんねえ。今度、厚生省で健康増進法っていうのができてその26条に学校・病院・公共施設に大きな飲食店と公衆浴場も全面的に禁煙を実施して健康づくりの拠点にするってんだからショーガナイっすよ。アタシもプカプカやってたんだけど、お客さんに禁煙を強いて風呂屋のオヤジが吸うわけにゃあいかんから、アタシも禁煙ですよ。ワビシイ世の中になったもんだけどカンベンしてね」

 アタシャ「禁煙はお上のお達し」であると強調し、一日ン時間もフロントにいるアタシも吸えないんだから、どうかご協力のホドと哀願?したんですわ。そのせいかどうか「しょうがねえよな」という諦めの声が大勢を支配して、いざ実施となっても正面きってのご不満・お小言はなかったですなあ。

 まあ、昨今は道路でさえ「くわえ煙草はまかりならん」という愛煙家を迫害?するような世情だから皆さん辛抱してくれてんでしょうな。入ってきて一服、一つ風呂浴びて一服などなど、2時間ほどの入浴で数回の一服タイムをとる40代の工員さん。アタシの「吸えなくってゴメンね」に「いや大丈夫っすよ」と返事をしてくれたが「健康のためだからね」などと説教がましい慰めは言えないし、セツナイ話よ。

 そこで、愛煙家対策の一環として、浴場での禁煙実施にあわせ、表ならいいだろうと玄関脇の軒下に大きなスタンド灰皿を置いたんだ。

 65才のヘビースモーカーのお客さんがそそくさと服を着るやタバコを手に外へ飛び出した。さあ、大っぴらに一服だ。そして表から声を掛けてきた。

「オヤジさんよォ、いい灰皿を置いてくれたけど、今度はイスが必要だよ」

 ウーン、路上喫煙室かあ、これは健康増進法に触れないんだろうなあ−−。

2006年06月05日

値上げと新聞記事

 入浴料金改定が実施されて3日が経った。お客さんはどんな反応をするか、お叱りやご不満を頂戴すると覚悟をしていたんだが、今日までのところ「しょうがないな」といった程度の鷹揚な対応をいただいているのでホッとしているところです。

 実はねアタシ、先月の31日に東京新聞から「料金改定についてどう思うか」という取材を受けたんです。アタシごときに何でコムズカシイ問題を振ってくるんだと思わないでもないんだけど、まあ聞かれたら答えなきゃあいけませんやね。

 記者さんの取材要旨は料金ともう一つ「これからの銭湯について」も質問されたんです。で、アタシャさしたる考えもなしにベラベラ喋っちゃったんですよ。そしてそのほんの一部が1日付けの夕刊に載ったんです。ご覧になった方も多いでしょうが、

 今日はその記事について少々書かせてもらいます。

「きょうから430円」のサブタイトルで「ついに都内1000軒割る」「健康・ゆとり…・銭湯の生きる道は」と大きな見出しでしたなあ。

「東京都内の銭湯が一千軒を割ったことが1日、分かった……」という書き出しから銭湯の変遷に触れ「燃料の重油高が続く中で、生き残りをかけた模索は続く」といった内容であり、最後のほうで「客は年々減っている。景気は回復しても貧富の差は拡大している。庶民は値上げで来なくなる。という心配の声もあるが」という組合員の談話に続いて、「疲れた体のリフレッシュを、と呼びかける経営者も。」とアタシの話がちょっぴり載っていたんです。

 墨田区の銭湯経営、星野剛さんは「自家風呂の代わりは七〇年代で終わった。今は街のゆとり。銭湯には、湯のぜいたくを楽しみに来てほしい」と話している」といった寸法です。アタシがベラベラ喋ったことの「ベ」ぐらいですが、まあ今言ったようにアタシごときの話ですからこんなもんでしょうな。

 そこで値上げ後の状況ですが、告知期間が半月程という短いものでしたが、新聞報道などが先行していたせいか、お客さんはアタシの予想以上に値上げをご存知でしたなあ。「ハイッ、30円上がったんだろ!」と小銭を添えて出される方が多いのでアタシャ助かりましたよ。感謝です。しかし6年ぶりの値上げですから気は遣いますなあ。「原油の高騰と消費税の導入で……」とクドクド言い訳ですよ。そして「スイマセンねえ」とひたすら低姿勢ですわ。けど、お客さんは温かいですなあ。どんな物でも値上げを喜ぶ人なんかいないでしょう。上がって喜ぶのは凧ぐらいなもんですからねえ。それを表情には出さずにお払いくださる。ホント有り難いですよ。お客さんのご理解に応えるためにも「さらにいい湯」をつくんなくちゃなあとアタシャ、ガラにもなく神妙に思いましたよ。お客さんアリガトね−−。

2006年06月04日

子供の世界

 自転車で町へ出た。所用を済ませてとある交差点で信号待ちをした時である。一緒に信号の変わるのを待っている3人の小学生の男の子がいた。アタシャちょっと声を掛けてみた。何気なく「ボクたちどこの学校?」と聞いたんである。3年生ぐらいの子なんだが、その一人がアタシをジロッとみてそのまんまそっぽを向いてしまった。

「ヘンなおじさんだ。ボクは喋らないぞッ」という感じである。アタシャ、う〜んそうかあ……と小さく唸っちゃったよ。ひと頃なら「なんとまあ可愛げのない子供なんだろう」と思うような態度も、今日ビならしょうがないんだよな。子供だって本質的には素直に反応したいんであろうがねえ。

 何せ今のご時世、子供を取り巻く状況が悪すぎる。子供の理由なき誘拐殺人などという昔なら想像もできなかった陰惨な大事件が日常茶飯事のように起きている。考えられないことが当り前のように行われる何とも表現のしようもないご時世である。

 学校の先生が「知らない人に声を掛けられても相手になってはいけない。附いていっては絶対だめである」と教え諭すらしい。昨今では子供を守るためにもやむを得ない指導であろうし、周囲の人間も「知らない子に馴れ馴れしく声を掛けることは子供に恐怖感を与えるだけである」と心得るべきなんであろう。わびしくセツナイ時代だ
が、これもまたやむを得ないんであろうなあ。

 人と慣れ親しむということが遠く遠〜くなっていくし、人と会話をして成長することも遅くなる。子供の話し相手は家族が主であり、子供の遊びはテレビにゲームなどの個人プレイが主流になり、人と交わる機会がどんどん少なくなる。「人を見たら……と思え」では子供を孤独に孤独にと追い詰めていくようでもある。

 その昔は学校帰りに道草を食って怒られるのが当り前でもあった。道路は子供の遊び場だった。鬼ごっこ、缶蹴り、かくれんぼから野球の三角ベースなどなど、日暮れも忘れて遊びまくった。そんな子供の世界がまるっきり無くなってしまった。

 アタシは風呂へくる子供と話すことが好きである。気さくに会話をしながらも時には大きな声も出す。怒ることもある。子供のほうも平気でふざけるし、生意気な口もきく。アタシャそんな雰囲気が楽しい。さらには子供は周囲の大人とも知り合いのように喋っているし怒られてもいる。思えば今の世の中で知らない大人と子供が自由に混在できる所は風呂屋ぐらいじゃないのか。他にそんな場所があるだろうか。

 今日の「よみうり寸評」にこんなことが載っていた。出生率1.25についての論評なんだが「−−広場や路地で群れ遊ぶ子供の姿などついぞ見かけない……外で遊ぶ子の声には大人の我が身もわくわくするが……。<夕焼けの似合う子供がいなくなり>

 −−こんな時事川柳もある」。夕焼けの似合う子供の世界がまた来て欲しいなあ。

2006年06月02日

ジャイアンツ

 7時、「また負けてらあ」と入ってくるなりフロント前のテレビを見て自嘲的な感じでつぶやいたのは中年のダンナ。極め付きのG党である。スタートダッシュに成功して快進撃を続け、この御仁をして「今年はこのまま行っちゃうんじゃないか」と言わしめていた巨人軍がここんところ負け続けである。G党のタメ息がセツナク聞こえてくる。そして次にお出でになったのは60代の奥さん。この方もG党なんだが−−。

「この頃は子供がやたらに殺されたり、親が子供に殺されたり暗〜いニュースばっかりでテレビを見てるとイライラしちゃうわねえ。だからあたしはスポーツばっかり見てんの。Wカップの日本選手のニュースとか琴の若の断髪式だとか、ダービーで勝った騎手が22年ぶりに初めて大レースを取ったなんていうのは感動するわよねえ。けどさあ、スポーツもイライラするのがあんのよねえ。巨人どうしたの?。あんなに調子がよかったのにこの頃まるっきりダメじゃない。ジャイアンツが弱いと野球を見る気がしないのよねえ」。な〜るほど、お気持ちよ〜くわかりますなあ。

 確かに昨今の巨人軍は奥さんならずとも「どうしたのよォ」と言いたくなるでしょうなあ。開幕当時は溌剌として躍動したヤング・ジャイアンツの面々が早くも息切れを起こしてアップアップしている。先日、テレビで解説をしていたかっての闘将・星野仙一さんがこう宣っていましたなあ。「開幕当初の原監督の目は光り輝いていたようだったが、この頃はベンチにいても何やら目に光がないようですなあ」と。

 今日の日ハム戦は高卒・19才のダルビッシュに手もなくひねられてしまった。これで5連敗。交流戦前までは14も貯金があり「金持ちケンカせず」とばかり余裕しゃくしゃくだったのにアッと言う間に貯金が半分に減ってしまった。年配のお客さんが面白いジョークを言ってましたなあ「こんなに負けると貯金がどんどん減っちゃって借金生活だな『アイフルから今すぐキャッシング』てな状態になりかねないよ−−」。

 アタシ、感じるんだけど、この頃、脱衣場の野球人気が以前程じゃなくなっていますなあ。前でしたら野球の放送時間になるとかならず「オヤジさん野球かけて!」と催促があったんだけど最近はあんまり言わなくなっちゃったもん。巨人戦が行われているのにテレビが放映をしなかったこともあったしねえ。凋落傾向の相撲人気に似たような状況になってきたのかなあ。だとするとさびしいよねえ。

 しかしG党のダンナに奥さんさあ、今年のプロ野球は両リーグとも大混戦が予想されるから、少しぐらい負けたって勝負はこれからでしょう。何せ大巨人軍の地力は一番なんだからそのうち巻き返すでしょう。見捨てないで応援してやりましょうよ……

 とまあ書いてきたんだけど、考えるとオレ、G党じゃなかったんだよな−−。

2006年06月01日

銭湯ダンナーズ

 ♪ のれんくぐれば湯の香り 広い湯舟でゆったりと

   今日の疲れを湯で流す 銭湯よいとこ いやしの湯 ♪

 この歌、ご存知ですかな。これはね「銭湯音頭(横山勇・作詞作曲)」といってね 風呂屋のテーマソング的なものなんです。といっても我々の仲間でもまだ一部の人しか知らないため、今日はこのブログでささやかにでもPRさせてもらおうかなと思い書かせてもらった次第なんです。

 おそらく一般に周知されたらミリオンセラーになるんじゃないの。いえ、冗談じゃなくアタシャ、マジメにそう思ってんです。

 ということで本題に入りますが、実はね5月29日の毎日新聞朝刊のコラム「人のぬくもり」というコーナーで銭湯音頭を歌っている浴場業界のメンバーが写真入りで大々的に報じられたんです。そこでこりゃあ特ダネとさっそく紹介させてもらいます。

−−「裸の付き合い」が世間で当り前だった昭和30年代、都内で2600軒を数えた銭湯はいま1000軒……。そんな冬の時代に立ち上がった風呂屋のオヤジたちがいる。「座して死ぬより、歌って攻めろ!」。世田谷区内の銭湯経営者たちでつくった民謡同好会、名付けて「銭湯ダンナーズ」。

 きっかけは04年、5月下旬の夜だった。浴場組合の懇親会でカラオケスナックに集まったノド自慢たちが、その歌唱力に脱帽した「新寿湯」の横山勇さん(66)が歌う宮崎民謡「刈干切歌」。聞けば「日本民謡協会の講師」というではないか。その場で横山さんを師にメンバー5人のダンナーズを結成。月2回、開店前の銭湯で練習を始めた。ほどなく、浴場を解放して落語や和太鼓の会を開く同業者から「オファー」が舞い込む−−。といった書き出しで、メンバーの紹介から歌唱の特訓の模様、さらには老人介護施設の慰問などなどが紹介されてんです。そして現在ではボランティア活動で引っぱりだこなんですって。ダンナーズの実力の程がうかがえますよねえ。

 そしてもう一つ。このメンバーの一員にSさんという人がいるんですけど、このSさんはアタシの身内なんです。身内の人間が民謡を通して銭湯のPRに活躍している姿をみるとアタシャもうダンナーズが他人に思えない。ハア?他人と思えないって、お前さんは民謡が歌えるのかですって?。イヤアそう聞かれるとお恥ずかしい。アタ
シャまったく古い人間なんでカラオケでも持ち歌は軍歌の ♪ 貴様とお〜れとォわァ同期のさァくゥらァ〜 ♪ ってやつ一曲なんです。

 ま、アタシのことはともかく、背中に「ゆ」を染め抜いた揃いの赤いハッピで「民謡お国めぐり」なんてまさに銭湯ファンならずとも必見でしょうなあ。

 ♪湯気の中で聴く民謡(うた)は 御国自慢のあのうたか

   遠い 遠い故郷思い出す 銭湯よいとこ なごみの湯 ♪

 浴場の広い空間に鍛え抜かれた名調子がこだまする……。いい湯だなあ−−。






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