社会評論家もいるんです
銭湯にはおよそ似つかわしくない?硬質のご意見を吐かれるお方がいるんだ。数年前60才で定年退職され今は駐輪場の仕事をなさっているというおヒトである。
「原油が1バレル75ドル以上になって評論家は80ドルになるだろうと言ってるけど、俺は100ドル近くになるとにらんでんだ。イランの核問題など産油国の情勢が緊迫しているから、こりゃあもう第二のオイルショックになりかねないよ」
とまあ、こういったアンバイの、当湯における社会評論家という感じですかな。しかしねえ、風呂屋の脱衣場ではこの手の堅〜い会話はどちらかといえばあまり受けませんな。みなさん、原油の高騰はイランの核問題が……なんて宣われてもホホウ…とわかったようなわからんような顔をしてるだけですもんね。
話がちょっと脇道に逸れるちゃうけど、脱衣場の話題っていうのは女湯はテレビドラマの話なんかが多いし、男湯は一にパチンコ二に競馬、サンシがなくて五に野球ってとこですかなあ。最近は高齢化時代を反映して健康の話も大分多くなりましたな。さらに政治の話題も出ますが
「コイズミの後は誰が有力だろ?」
「アベシンゾーじゃないの」程度であり、
「後継総裁は憲法問題と靖国にアジア外交が課題になるな」
てなコムズカシイ議論には踏み込まない。何にしても「サワリ」だけを喋るだけであり「気楽」が脱衣場の特徴でしょうなあ。だからいいのかもね。
さて、ここで冒頭の評論家?さんがおっしゃった原油の値上げについての話に戻ろう。これが今日の本題の予定なんだけどね。原油の値上がりは浴場にとって由々しき問題なんだ。営業の根幹を揺るがす非常事態といってもいいだろう。
今回のバーレル75ドルという数字は従来の価格の2倍以上になるんであり、これが80ドルから評論家ウジの言う100ドルに近くなったら、風呂屋ではとても使えなくなっちゃう。しかし重油を燃さなきゃ風呂釜が冷えてしまう。湯屋じゃなくなってしまうよ。だからといって安易に値上げ分を入浴料に転嫁することは公衆浴場の場合単純には行かないんですよね。風呂屋の入浴料金は都道府県知事の許認可料金になっていて、東京都の場合は「公衆浴場問題協議会」という組織がありましてね、そこで毎年世情の物価の動静やら社会的事情などが討議されてれて決定されるんですな。「元値が上がったからホイ値上げだ」とはとても参らないんですよ
ね。さ〜てこれから先、原油価格はどう推移していくんだろ。心配だねえ。ここは一つ、うちの社会評論家のお知恵を拝聴しなくちゃいけねえな。センセイ「ウン、そうなりゃ昔にかえって大八車で薪でも集めてきな」なんて言わねえだろうな。






